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米軍の沖縄への執着

2010年8月6日

宇佐美 保

「久間章生氏の問題発言」として、次の記述を目にします。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

 

「私でも沖縄を真っ先に占領」発言

2006127日の参議院外交防衛委員会で、「私はやっぱり、あそこ(沖縄)は拠点として真っ先に占領したと思う」と述べた。自らがアメリカの立場になったと仮定した上で太平洋の要石と呼ばれるほど地政学的重要的位置づけである沖縄基地の重要性を指摘した発言であったが、元ひめゆり学徒隊の沖縄県民らは「他人事のような発言。沖縄戦でかつて捨て石にされた沖縄が、また切り捨てられたようだ」と反発した。

 

 

 そして、この「久間発言」を批判するだけではなく、この久間氏の思考方法を、「不肖私が米国の軍産複合体の重要人物の立場になったと仮定した上で」考えて見ましょう。

 

(くどいようですが、あくまでも、

以下の記述は、私の如き下種な人物が米国の軍産複合体の重要人物の立場になったと仮定した上での幻想です。

しかし、私のような人物が米国に居ないという保証はありません)

 

 1989平成元年12月2日、地中海のマルタ島でブッシュ米大統領とゴルバチョフ・ソ連書記長による米ソ首脳会談が開かれ、東西冷戦終結した後は、当然ながら、平和の時代が到来して武器の需要は無くなって行く筈です。

 

 それでは、

私達(軍産複合体)は干上がってしまいますので、私は、9.11の同時多発事件を、
それに続く「新たな戦争(テロとの戦い)」を、
又、「悪の枢軸(殲滅しなくてはならない敵国)」の創設を提案し、その提案通り実行されました。

 

(これらの件に関しては、先の拙文≪やっぱりおかしい9-11同時多発テロ事件≫等をご参照ください)

 

 テポドンなどを発射させたり、核実験をさせたりして、北朝鮮の脅威をあおり(注:1)、(その前には、シーレーン確保の重要性も説きました(注:2))日米安保条約を足がかりに、

経済大国の日本には、沢山の武器を売りつけました。

 

 しかし、ここで一寸心配事が発生します。

 

 何しろ、

大戦後、日本が永久に米国に刃向かう事が出来ないようにする為に「平和憲法」を押し付けた経緯があるくらい、
私達米軍は日本軍を(日本が再び米国に戦いを挑む事を)警戒しているのです。

 

 ですから、経済的には出来るだけ武器を日本の売り付けたいのですが、その売り付けた大量の武器で、私達米国に攻撃を加えて来られては、飼い犬に手を噛まれるどころではありません。

 

 この為には

常時、日本軍(自衛隊)の動きを米軍のコントロール下に置く必要がありますので、
我が米軍基地を日本中到る所の自衛隊基地内に置いたりしています。

 

 しかし、いざ事が起こった際には、私達の在日米軍は約5万人、それに比べて自衛隊員は約24万人と人数で圧倒されます。

 

 そこで、「久間発言」にありますように

“太平洋の要石と呼ばれるほど地政学的重要的位置づけである沖縄基地”を絶対に確保し続け、
日米が対峙する事態に陥ったなら、沖縄全土を我が米軍基地とするのです。

 

 こんな私達の思いを損託せずに、“在日米軍が他国からの侵略に対する抑止力となる”(注:3)と信じる「御人好し」(注:4)が日本に多いのは驚きです。

 

 私達、在日米軍は約5万人、自衛隊員は約24万人いるのですよ!

自衛隊の影のような存在の私達が抑止力になるのですか?

 

 日本には「核の傘」という言葉があるそうですが、なんとも虫の良い話ではありませんか!?

 

日本に核爆弾が打ち込まれたら(打ち込まれそうになったら)私達米軍が日本の代わりに核をその敵国に打ち込めというのですか!?

おかしいですよね、自分たちは「非核三原則」等と綺麗ごとを言って、汚れ役を私達米国に押し付けようというのですか!?

 

 だからと言って、

日本が独自に核を持つなどという事は、私達米国までも危険に曝されることになるのですから、私達米軍は断固として許しませんよ。

(この件は、朝日ニュースターの番組「パックインジャーナル」で、田岡俊二氏が常々語っている通りです)

 

 それにしても、本当におかしなことです。

野球などスポーツの場に於いては

「サムライ日本」等と「サムライ」を強調しますが、
米国の傘の保護を受け安穏とした生活を楽しんでいるのが「サムライ」でしょうか?!

 

 「サムライの国日本」には、“肉を切らせて、骨を断つ”という言葉があったのではありませんか?

 

 それどころか、勝海舟は、刀さえ使わなかったそうではありませんか!

(先の拙文≪武士道と自衛隊と勝海舟≫から一部を抜粋します)

刀でも、ひどく丈夫に結えて、決して抜けないようにしてあった人に斬られても、こちらは斬らぬといふ覚悟だった。ナニ蚤や虱だと思へばいいのさ。肩につかまって、チクリチクリと刺しても、ただ痒いだけだ、生命に関りはしないよ」(『海舟座談』)

 

 北朝鮮が「焼けのやんぱち」を起こして、なけなしの数発の核爆弾をミサイルに搭載して日本に打ち込んでも、日本が壊滅しますか!?

(勿論、直接被害にあわれる方はお気の毒ですが)

 

 それどころか、“北朝鮮が「焼けのやんぱち」を起こさないようにする”のが政治ではありませんか?!

 

 私達米国は北朝鮮との裏交渉は緊密ですよ、だからこそ「ブッシュのポチ」と言われていた小泉純一郎氏の政権基盤を強化する為に、米国は(裏で)拉致問題の解決を画策したのだと思っていますよ。

(ただこの件に関しては、私は、直接関与してないので断定は出来ません)

 

 私は、

何故「サムライ」を標榜する日本人が「核の傘」の下に安住せずに、
「非核の傘」(注:5)を世界に広げて行く先頭に立たないのかが不思議でならないのですよ。

 

 しかし、どうも日本には「サムライ」ではなく「追従者」ばかりが蔓延っているようです。

 

 つい先日も

国会中継を一寸覗いたら、防衛大臣も務めた「軍事オタク」とも言われている石破茂議員が
(まるで、私達米軍の立場に立って)菅首相を次のように問い詰めていましたよ。

 

 ヘリコプターによる事故が多い今、ただでさえ危険な普天間の基地を早急に辺野古に移すよう努力すべし!

 

 

 おかしいですよね、自国民の安全を先ず考えるなら、“危険な普天間飛行場の使用を直ちに中止すべし”と発言し又、米国へも働きかけるべきです。

 

 このような方々(日本の政治家というのか?若しかしたら私達の政治家)の存在もあって、私達は日本でおいしい商売が出来るのです。

その上、「利権」で、簡単に日本人を(基地問題も含めて)操作できますからね。

 

 そうそう、

鳩山由紀夫氏が首相の座を降りたのは、
私達の存在、そして、私達の沖縄への拘りの裏を学び、
彼とオバマ大統領との個人的な信頼関係だけでは、沖縄基地問題が解決できない事を知った為ではないでしょうか?

(今回の、グアム基地移転の延期(注:6)も、前以って耳打ちされていたのかもしれません。

しかし、小沢一郎氏は、いまだに私達の本音を御存じないようです(注:7))


 

(注:1 ラムズフェルドの北朝鮮コネクション)

この件は「暗いニュースリンク

から引用させて頂きます。

 

 

今回の記事は、20035月当時の米フォーチュン誌に掲載されていたものである。

 

ドナルド・ラムズフェルド国防長官は自らの主張を胸の内に留めておくようなことを滅多にしない人物である。敵に対しても妥協するようなことはない。そして、彼は北朝鮮の共産主義政権について明確に軽蔑している。そういうわけで、合衆国政府が北朝鮮に対して、核兵器開発計画の断念と引き換えに2基の軽水炉建設計画に同意し論議を呼んだ1994年の取り決めについて、国防長官の見解に関する公的記録が全く存在しない事実には非常に驚かされる。さらに驚くべきことは、その北朝鮮の軽水炉建設の設計と基本部位を提供する2億ドルの事業を受注した企業の役員に就いていた実について、ラムズフェルド氏が沈黙していることである。

 

その会社は、スイス・チューリッヒを本拠とする巨大企業ABBで、北朝鮮との契約は2000年に締結されており、ラムズフェルド氏が役員職を辞任してブッシュ政権に入閣するずっと前のことであった。ラムズフェルド氏は、1990年から2001年初頭まで、唯一のアメリカ人役員としてABB社取締役会に名を連ねていたが、当時その会社が北朝鮮の軽水炉開発事業契約受注競争に加わったことを公的には口にしていなかった。・・・

ラムズフェルド氏が果たした役割についてフォーチュン誌は詳細な説明を求めたが、同氏は回答を拒否している。・・・

 

 

(注:2 シーレーン)

 この件は岩上安身氏(ジャーナリスト)のホームページから引用させて頂きます。

 

 

・・・マスコミは南方のシーレーンを攻撃しにくるソ連原潜の脅威が、と書きたてましたが、その情報の発信源である防衛庁は、米軍の説明をうのみにしていたのです。

・・・米軍の説明通り、高価な対潜哨戒機PCを買い入れ、ソ連原潜を探索していた防衛庁は、幹部以下、米軍の説明を信じ切っていました。しかし、実際の米軍の目的は、核戦略上の第二撃のSLBMを撃てる原潜を探して攻撃を加えることでした。

・・・毎年のように、米軍の高官が来て、シーレーンを守る必要性を自衛隊幹部に説いていたのですが、あるときから、パタッと口にしなくなった。ある自衛隊幹部が、不思議に思って尋ねると、「お前はバカか?! シーレーンなんて、本当に信じていたのか?」と言われたのです。

・・・どれほどの屈辱だったか。しかし、米軍に対しておかしいと直言する者は飛ばされる。残るのは米軍のイエスマンばかり。これが防衛省の制服組の実態です。シーレーン防衛と同様、ミサイル防衛も、何の役にも立ちません。

 

 

(注:3 在沖米政府高官のレクチャー)

 

 週刊金曜日2010.7.30)から引用させ得て頂きます。

 

……在沖米政府高官が講師を務める勉強会に臨席する機会を得た。流暢な日本語を操り、普天間基地の移設先〃である名護市内で地元有力者との面談を繰り返している人物だ。

 高官は「今もっとも懸念しているのが北朝鮮です。沖縄に海兵隊がいることで抑止力になる。沖縄から海兵隊がいなくなれば、機動性と有効性が失われる」と、海兵隊や日米同盟の重要性を強調していた。これは日本の米軍基地容認派の意見と軌を一にする。

 

(注:4 「御人好し」)

 

 この件は、831922分配信 J-CASTニュース:菅首相 防衛論議に「しどろもどろ」 質疑というより「石破教室」から引用させて頂きます。

 

菅内閣が発足して初めての予算委員会が201082日、始まった。野党側からは、「政治とカネ」「財政再建」など、多岐にわたる質問が出たが、菅首相は防戦一方で、終始顔をしかめて答弁。特に、防衛相経験者で安全保障政策に詳しい自民党の石破茂政調会長からは、米軍普天間基地の移設問題が迷走した理由や、米軍海兵隊の抑止力に対する認識を問われ、しどろもどろになる場面も目立ち、質疑というよりも「講義」の様相すら呈していた。この様子は、ツイッター上でも「石破教室」などと、話題になっている。

・・・

石破氏は、

 「海兵隊の任務は、緊急時に、真っ先に駆けつけて、自国民を救出する。これが第一。1日、数時間の遅れが、決定的に事態を悪くする。だから時間と距離の壁を乗り越えることが大事」と、海兵隊が1日で到達可能な範囲を地図で示しながら説明していた。

 

 

 

この石発言の「自国民を救出する。これが第一」の「自国民」は、当然「米国民」です。

 

この件も、朝日ニュースターの番組「パックインジャーナル」で、田岡俊二氏が常々語っておられます。

 

米海兵隊の任務は、行った中国等で事が起こった時に、自国民を救出するのが任務である為、グアムにいては間に合わない。

 

その上、

米海兵隊による、日本人の救出ランクは、第4番目であるのに、
発言(先の普天間飛行場の件も含め)を後生大事に受け止め
「石教室」と崇め奉る日本人はよほどの「御人好し」なのでしょうか!?

 

 

(注:5 「非核の傘」)

この件は、ビッグイシュー日本版148号(2010.8.1)に於ける、NPO法人「ピースデポ」代表の湯浅一郎氏のお話から引用させて頂きます。

 

日本の安全保障を考える時、常について回るのはアメリカの核抑止、いわゆる「核の傘」 の問題だ。

他国の脅威に対して、日本は「核の傘」で守ってもらう。それができないなら、自国で核武装するしかない……。そんな核に依存した二者択一の議論が、お茶の間のテレビ番組でもよく語られる。

 

「ピースデポ」が提案するのは、それとは違う第三の道。

軍事力によらない安全保障体制だ。

「日本、韓国、それに北朝鮮を含んだ北東アジアで非核兵器地帯をつくる。つまり、核の傘ではない、非核の傘による安全保障です。理想論だと言う人がいるかもしれませんが、実はそのようなシステムはすでに地球上に5つもあるんですよ」と湯浅一郎さん。

 非核兵器地帯とは、地域内の国家間で結ばれた条約によって、核兵器の開発や製造、取得などが禁止された地域のこと。キューバ危機を契機に、まず1960年代にラテンアメリカおよびカリブ地域で条約が結ばれ、その後、オーストラリアやニュージーランドなどの南太平洋、さらに東南アジア、アフリカの各地域でも非核兵器地帯がつくられてきた

「つまり、南半球の999パーセントは非核の傘の中にあり、すでに地球上の半分は核の脅威から抜け出しているんですね。昨年には、旧ソ連圏の中央アジアでも非核兵器地帯条約が発効しましたから、非核の傘は北半球にも広がりつつある。日本でも韓国との間で超党派の議員連携が実現し、国会議員と自治体、NGOの三者によって非核兵器地帯への取り組みが始まっています」

 非核兵器地帯で特に重要なのは、アメリカやソ連など5つの核保有国も地帯内の国家に対して核の使用や威嚇をしないという「消極的安全保証」を約束する点だ

そのため、世界に核が存在していても、非核の傘をつくり出すことができる。

「アメリカが『核兵器のない世界』を目指すと宣言し、中国は元々消極的安全保証には前向きです。北朝鮮の核政策をめぐる6カ国協議を再開して、議題にあげれば、北東アジアでも非核兵器地帯への道が開ける可能性は十分にあると思います」

・・・



 

(注:6 グアム移転の延期)

 

毎日新聞(728日)

 

 米下院軍事委員会で27日、日米関係に関する公聴会が開かれた。ファネンスティル国防次官補は在沖縄米海兵隊のグアム移転について「日程通りの建設を進めるにはグアムの社会資本整備は不足している」と述べ、日米合意で目標としていた2014年の移転完了を事実上断念する考えを議会側に伝えた。米政府はすでにグアム州政府に、建設の延期方針を伝えている。

 

 

(注:7 小沢氏の認識度)

週刊金曜日(2010.7.30号)から引用させて頂きます。

 

 

611日、赤坂の小沢一郎民主党前幹事長(右写真)の事務所。小沢前幹事長の希望でグアム、テニアン訪問の説明をした川内博史国土交通委員長(沖縄等米軍基地問題議員懇談会長)に対し、小沢氏は「九月の代表選で普天問(移設問題)は争点になると思うか」と聞いた。川内氏はこう答えた。

「大きな争点になると思います。地元合意のない辺野古も徳之島も非現実的。無理なことを追いかけるのは、日米安保にもマイナスで、国民の政治不信も招く。地元合意のあるグアム、テニアンこそ最も現実的な案です

 すると、小沢氏も相槌を打った。

「辺野古も徳之島も無理だよな。日本政府が米国にきちんと話をすれば、米国も我が意を得たりということになるはずだけどな。なんで米国に言えないのかな。普天間は代表選の争点になるな」


 

 
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